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減税で何が変わる?― “一時しのぎの給付”から、“可処分所得革命”へ ―

減税で何が変わる?
― “一時しのぎの給付”から、“可処分所得革命”へ ―

抜粋:給付は一時しのぎ、減税は構造改革。給付がコストプッシュを助長し、価値を歪める一方で、減税は購買力を持続的に高め、市場の力で自然体のインフレを生み出す。“可処分所得革命”が日本経済を変える。

はじめに:給付ではインフレに勝てない

物価が上昇するたびに、政府は「現金給付」や「ポイント還元」で家計を支えようとしてきました。しかし、それらの多くは“その場しのぎ”で終わってきたのが現実です。

一時的にお金を配っても、所得構造そのものが変わらない限り、家計の体力は戻りません。むしろ給付は、物価上昇をさらに加速させる“逆効果”を生むリスクすらあります。

いま求められているのは、短期的な支援ではなく、「持続的にお金が回る仕組み」です。それを実現するのが、「減税による可処分所得革命」です。

給付の限界①:一瞬だけ潤い、すぐに消える

給付金は即効性がありますが、その効果は一瞬です。10万円を配っても、それを使えば終わり。給付が切れた後は、税や社会保険料、物価上昇で再び家計が苦しくなる。つまり、「点」で終わる支援です。

給付金による消費刺激は、いわば「焚きつけ花火」。派手に燃えても、あっという間に消えてしまうのです。

給付の限界②:コストプッシュ型インフレを助長する

今の日本経済は、原材料高や円安によるコストプッシュ型インフレの最中にあります。ここで給付を行うとどうなるか?

供給が追いつかない状態で現金を配れば、需要だけが急増し、モノやサービスの奪い合いが起きて価格がさらに上昇します。

つまり、給付によって一時的に家計が潤ったとしても、その直後にインフレが進み、実質購買力はむしろ下がるという悪循環が起きるのです。

給付の限界③:構造を何も変えない

給付は、国が一度集めた税金を再配分するだけの「一方通行」です。企業の投資や賃金構造は変わらず、“流れないお金”になります。

給付で救われるのは“瞬間”であって、家計や企業が「未来への投資」をするわけではありません。これでは経済の血流が止まります。

減税は「流れる支援」――構造を変える力

一方で、減税はまったく逆の仕組みです。恒常的に可処分所得(手取り)を増やすことで、家計に“余白”を作ります。

余裕があれば、家計は消費・投資・貯蓄を自分の判断で最適化できる。企業も内需の拡大を見越して投資・雇用を増やす。こうしてお金が循環し、経済が回る。

給付が「点で支える」なら、減税は「線で支える」。つまり、“回る支援”=減税なのです。

なぜ減税はインフレを抑えつつ経済を伸ばせるのか

給付は「需要だけ」を一時的に膨らませる政策。減税は「需要と供給の両方」を伸ばす政策です。

手取りが増えれば消費が安定し、企業は中長期の需要を見込んで設備投資・雇用を増やします。その結果、供給力も上がり、コストプッシュの影響を吸収できる構造に変わります。

つまり、減税=“購買力でインフレを吸収する”政策、給付=“インフレを加速させる”政策。この違いが、「一時しのぎ」と「構造改革」を分けるのです。

給付と減税の違い:家計とインフレへの影響を比較した図。減税は構造を変え、給付は一時しのぎ。
図:給付と減税の違い ― 家計とインフレへの影響
比較項目給付減税
支援の性質一時的・単発恒常的・継続的
家計の変化一瞬潤うが、すぐ元に戻る手取りが増えて生活基盤が安定
経済への影響需要急増 → 供給不足 → 物価上昇需要・供給ともに拡大 → 安定成長
インフレ構造コストプッシュ型を助長受給拡大型に転換
政策の本質その場しのぎ構造転換

給付は「政治が価値を決める」、減税は「市場が価値を生み出す」

給付の本質的な問題は、「政治が何を支援するかを決める」ことです。政治家が「子育て」「ガソリン」「電気代」など対象を選びますが、その判断が必ずしも国民の実感と一致するとは限りません。

結果として、政治が価格を歪め、真に求められていないものが安くなり、本当に価値のあるものが取り残される。市場原理が働かず、経済の需給バランスが歪みます。

つまり、給付とは「政治が価値を決める経済」。政治が万能でなければ、正しく機能しない不安定な仕組みです。

一方で減税は、「お金の使い道を国民に委ねる」政策です。国民や企業が自ら判断し、価値を感じるものにお金を使う。そこに自然と需要が集まり、“本当に価値のあるモノやサービス”の価格が上がる。

つまり、減税でインフレが起きても、それは“歪められた物価”ではなく、“国民が選んだ価値の結果”。それこそが、自然体で健全な経済成長です。

給付は「政治が価値を決める経済」、
減税は「国民が価値を生み出す経済」。

この違いは、単なる財政政策の差ではなく、社会の在り方そのものを問う選択なのです。

まとめ:給付で守る時代から、減税で伸ばす時代へ

  • 給付は「止血」だが、減税は「血流改善」。
  • 給付は一時的に経済を温めるが、インフレを悪化させる副作用を持つ。
  • 減税は、可処分所得を底上げし、インフレを吸収する構造を作る。

いま必要なのは、「配る政治」ではなく、「回す経済」。 そしてその起点が、“減税による可処分所得革命”なのです。

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この記事を書いた人

ちゃきん(茶金)
理系サラリーマン投資家。
住宅ローンや不動産投資など合計2億円の借金を抱えながらも、株式・仮想通貨・太陽光発電など幅広く挑戦。
子育てと家計管理をリアルに発信し、「お金と暮らしの最適解」を実験しています。

Xはこちら → @chachakin_blog

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